
樟脳 の原料でもある クスノキ の精油、いわゆるアロマオイルの持つ機能についてまとめてみたいと思います。
以前の記事でも触れましたが 樟脳 は天然由来の防虫剤として古くから日本人の生活において活用されてきました。樟脳はクスノキから抽出される精油、一般的にアロマオイルと呼ばれる液体を冷却し、その中で結晶化したものを乾燥させて粉末が出来上がります。
※樟脳の製造工程については下記の投稿にまとめております
その製造段階で抽出されるアロマオイルですが、最近下記のような優れた特徴、機能を持っていることがいくつかの試験を通じてわかってきました。
本記事では試験結果も合わせてそれらの機能を紹介していきたいと思います。
クスノキ の アロマオイル が持つ3つの効果
1 ウイルス除去効果(エンベロープタイプ)
2 抗菌効果
3 防蚊効果
クスノキ アロマオイルの機能
以前の投稿でも紹介しておりますが、クスノキの精油(アロマオイル)、芳香蒸留水(ハーバルウォーター)は下記の図のように抽出されます。

アロマオイルについては一般的なものと同様の使われ方もしますが、ハーバルウォーターについてはこれまでにも虫よけとしても使われてきました。
今回行われた試験ではより明確な効果を測定するために行われました。

その結果としてクスノキのアロマオイルには「ウイルス除去」「抗菌」「防蚊」の3つの効果が、ハーバルウォーターにおいては「アリの忌避効果」があることがわかりました。
では試験結果と合わせて一つ一つ見ていきましょう。
アロマオイルのウイルス除去効果
一つ目はウイルスに対してどのような効果があるのかを見る試験です。ウイルスにはエンベロープタイプを使用しています。

エンベロープタイプのウイルスとは・・・
一部のウイルスの粒子に膜状の構造を持っているウイルスを指し、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、風疹ウイルス、B型肝炎やC型肝炎ウイルス、エイズウイルスなどが代表的なエンベロープタイプのウイルスです。
ウイルス除去効果の試験結果

ウイルス数:対照を100としたときのウイルス数
対照:精製水
ウイルス試験:一般財団法人ニッセンケン評価センター試験済み
ウイルスの増殖99.9%防ぐ
抗ウイルス活性値 3.1
試験結果としてクスノキ アロマオイルは99.9%ウイルスの増殖を防ぐという驚く結果です。
抗ウイルス活性値は3.1をマークしており、一般的には抗菌活性値2.0~が強い効果があるとして認められています。
※すべてのウイルスを取り除くというものではりません。
アロマオイルの抗菌効果
ウイルスの試験に引き続き菌に対してクスノキのアロマオイルがどんな効果をもたらすのか黄色ブドウ球菌を使って増殖を時間の経過とともに見る試験です。
黄色ブドウ球菌とは
黄色ブドウ球菌は人を含む動物の皮膚や消化管の常在菌であるブドウ球菌の一つで膿腫などの表皮感染症や食中毒、肺炎、髄膜炎など死に至る感染症の原因にもなる菌です
抗菌効果の試験結果

抗菌試験:一般財団法人ニッセンケン品質評価センター試験済み
試験概要:JIS L1902:2015準用
菌の増殖99%防ぐ
抗菌活性値 6.0
抗菌効果については東京農業大学の地域環境科学部 森林総合科学科 上原 巌 教授が2020年4月30日に公開した記事「身近なみどりの効用~クスノキの抗菌効果~」でもクスノキの抗菌効果について大腸菌を使った実験結果と合わせて投稿されています。
写真を見ても一目瞭然ですが、クスノキのアロマオイルは直後も菌がありませんが、18時間経過した後もほぼ変わらない結果が出ています。数値的な結果としてクスノキ アロマオイルは菌の増殖を99%防ぐというものでした。ただしこれらの数値はすべての菌を除去したり抑えたりするわけではありませんのでご注意ください。
アロマオイルの防蚊効果
続いての実験は蚊がどのくらいクスノキのアロマオイルを嫌って避けするのかを見る試験です。夏場になると蚊に刺されることも多くなったり、就寝時に蚊がいると安心して寝れなかったりするので事前に知っておくと有益ですね。

ヒトスジシマカ
試験に使用するのは皆さんお馴染みの蚊、ヒトスジシマカです。最も日常生活の中で見かける種類で夏に被害を受ける大半がこの種の蚊ですね。
防蚊効果の試験結果
余談ですが実験で蚊の入った箱に手を突っ込む方はかゆいんでしょうね。

防蚊試験:一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター試験済み
蚊 忌避率87.9%
コチラも数字で見ると明らかに効果が出ていますね。何も対策していなければ91か所刺されるところを11か所まで回避できるとすればこれは大きいですね。こちらもすべての蚊を除去したり抑えたりできるというわけではありませんのでご注意くださいね。

ハーバルウォーターのアリの忌避効果
ここまでクスノキのアロマオイルにおける3つの効果を見てきましたが、もう一つ、アロマオイルではなく一般的にハーバルウォーターと呼ばれる芳香蒸留水を使った試験も行われました。

アリがどのくらいクスノキのハーバルウォーターを嫌って避けるかを見る実験です。
トビイロケアリ
試験に使われたのは鳶色毛蟻(トビイロケアリ)という2.5~3.5mmくらいの大きさの種類のアリで道や公園などで見かけるごくごく普通のアリです。
アリの忌避効果試験結果
下記の図の通りアリが好む砂糖の主成分である「ショ糖」の液をクスノキのハーバルウォーターと精製水の中心に置き18時間の経過とともにアリがどんな行動をとるか見るというものです。

18時間後の結果は下記の図の通りです。

アリの忌避試験:一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター試験済み
30体中、28体が精製水の中心に置かれたショ糖液の周辺に集まり、クスノキのハーバルウォーターの方には0体でした。
アリ 忌避率 100%
アリの忌避率に関しては驚きの100%でした。アリ除けとしては間違いなく効果が期待できるということですね。
コチラもすべてのアリを除去したり抑えたりできるわけではありませんのでご注意ください。ハーバル

まとめ
今回の投稿ではクスノキのアロマオイル、ハーバルウォーターにおける4つの試験結果をまとめてみました。

現在、新型コロナウイルスの影響が広まる中、国内でも「抗ウイルス」「抗菌」といったキーワードに敏感になっております。
本記事で紹介したすべての数値は自社で行った試験ではなく、専門機関へ持ち込んで行った試験の結果ですので参考にしていただいて問題の無い数字ではないかと思います。
今後もこのような商品の選びや購入の参考になる試験の結果を投稿していきたいと。
ではまた!