樟脳とは どんなモノなのか・・?本サイトの記事でも防虫剤として 樟脳の使い方 や取り扱う際の注意点など何度か記事を投稿してきました。

本投稿ではこれまでの歴史で防虫剤以外に樟脳がどんな場面でどんな使われ方をしてきたのかまとめてみようと思います。
弊社では長年にわたり日本全国の生活協同組合(生協)を通じて国産の天然樟脳の販売を行ってきました。その中で生産者や関係者から得た情報を中心に本投稿にまとめていきたいと思います。
さまざまな使われ方をする樟脳

現在では様々な防虫剤が販売されていますが、 ナフタリンやパラジクロルベンゼン、ピレスロイドなど 使用されている薬品の安全性が問われている現在、改めて樟脳への注目が集まりつつあります。

しかし樟脳は防虫剤だけでなく実は様々な使われ方をしています。
では一つずつ見ていきましょう!
アロマオイルとしての樟脳
一つ目は女性を中心に人気を集めるアロマです。
アロマとというとやはりラベンダー、ペパーミント、カモミールなどの香りを想像しますが、実は樟脳もアロマエッセンシャルオイルの原料として用いられています。


カンファー、カンフルなどと呼ばれ、独特な清涼感のある香りで神経質になっている感情をやわらげてくれたり、ストレスや不安などの緩和する作用があるそうです。
日本のいいもの.jpでも福岡県産の樟脳アロマエッセンシャルオイルを販売しておりますが、純国産ということもあり長年ご好評いただいている人気アイテムです。
人魂(ひとだま)の演出
日常ではしない一風変わった使い方ではありますが・・・芝居や肝試しなどのシーンで人魂(ひとだま)を演出するために使用されれたりするそうです。
樟脳火(しょうのうび)と呼ばれ、樟脳を燃やした際に出る青い火のことをそう呼ぶようです。
ちなみに落語の有名な演目に樟脳玉(しょうのうだま)というものがあります。
話の中では長太郎玉と呼ばれる樟脳を丸めたアイテムが登場し、亡くなった主人公の妻の幽霊を表現するため長太郎玉を燃やした青い火が使われています。
昔から樟脳を燃やすと青い火が発生するということは広く知られていたんですね。私も機会があればどんな炎が上がるのか一度試してみたいです。
懐かしのおもちゃ「樟脳舟」
次は昔、縁日でよく売られていた子供用のおもちゃ「しょうのう舟」です。私の世代では見たことはありませんが、
水の表面張力と船尾に付けた樟脳の拡散作用で水面に置かれた舟が前に動くというものです。
Youtube上で検索してみると自作の樟脳舟を作って動画を上げてらっしゃる方も多いですね。また検索エンジンでも調べてみたところ、まだ販売されているおもちゃ問屋さんもあるようです。




セルロイドの原料
ここ最近見かけなくなった合成樹脂、セルロイドの原料として樟脳が用いられています。
セルロイドはニトロセルロースと樟脳から合成される合成樹脂で身近なところでは卓球用のピンポン玉やメガネ、万年筆、アコーディオンのボディーなど様々な商品の素材として用いられています。
セルロイド製造で知られる現在の東京都葛飾区では大正の初期からセルロイド製のおもちゃ製造がスタートしました。


第二次世界大戦後にはセルロイド製品は日本の全輸出額の5割を超える主要輸出品目の一つにまでになりましたが、その後の大量生産時代に石油系プラスチックの大量流通や取り扱いに注意が必要な点で流通量は減り、現在ではほとんど生産されなくなってしまいました。
薬としての樟脳
「カンフル剤」。
皆さんも仕事の中などで聞いたことのある言葉ではないでしょうか?良く使われていますが、実際カンフル剤がどんなモノかはあまり知られていないのではないでしょうか。
ダメになりかけた物事を復活させる措置のことをカンフル剤なんて言ったりしますよね?このカンフル剤は蘇生薬として使用されていた樟脳のことなんですね。


作用が確実ではないため、 現在は用いられなくなりましたが、かつては起死回生の強心薬として医療の現場で使われていたようです。
その他の用途として血行促進や鎮痛作用、消炎作用、鎮痒作用、清涼感などがあるため、かゆみ止めやリップクリーム、湿布薬などの成分としても使われています。
肩こりや筋肉疲労、虫刺されなどに使われる皆さんよくご存じのタイガーバームにも樟脳が含まれているようです。
ヒンズー教の焼香として使われる樟脳
私たちモノ見リョク編集部も昨年、インドから問い合わせをいただくまで焼香用として使われていることを知りませんでした。


日本国内では焼香としては使われる機会はありませんが、インド、ネパール、バングラデシュなどに信者が多いとされるヒンズー教においては花、塗香、線香、円錐形の練り焚香、バラ水などと合わせてよく儀礼に使われるそうです。
中でもインドにおいて樟脳はむしろ防虫剤としてではなく、ほぼ焼香の用途に限定されているようです。
取り扱う形状についても日本では粉末状なのに対してインドで使われる焼香用はタブレット状になっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
防虫剤として広く知られる樟脳(しょうのう)ですが、様々なシーンで色々な使われ方をしていますね。
医療業界や工業製品の材料としてなど過去の日本では広く使われてきましたが、現在はやはりもっとも基本的な性能である防虫剤としての使われ方が一般的なのではないかと思います。
現在、日本国内では指折り数える程度の生産者しかなくなってしまった樟脳ですが、私たちが運営する日本のいいもの.jpでも定番中の定番として多くのリピーターさんが付いている人気アイテムです。




まだ使用したことがないという方はぜひ一度お試しくださいね。
ではまた次回お会いしましょう