印伝 (印傳) :こうしゅういんでん


山梨県の伝統工芸品として長く愛され続けてきた地場産品ですが、モノ見リョク編集部のある(有)カワグチ企画では20年以上に渡って甲州印伝(印傳)を取り扱ってきました。
今回は甲州印伝(印傳)製造元の一つ印傳屋の商品について購入する際のポイントや人気の高いアイテムと柄のトップ5を紹介してみたいと思います。
甲州印伝(印)の選び方と知っておくべきこと
以前の記事でも少しだけ触れましたが・・・


最初に基本中の基本ですが、甲州印伝(印傳)とは鹿革に漆で模様付けする伝統技術のことを指します。
まずは、印伝(印傳)を選ぶ際の基本的なポイントを紹介しようと思います。
アイテム×色柄の組み合わせ
アイテムの種類


財布やバッグ、名刺入れ等々いわゆる、アイテムの形です。例えば「名刺入れ」を買おう!と思っても名刺入れの中には3種類の形があり、それぞれ収納できる枚数や価格も異なります。
同じように「メンズの財布」といっても何種類もあるので、まず印伝(印傳)を買おう思った場合、最初にここで悩みます。
生地となる鹿革の色


アイテムが決まると次は地の色で悩みます。これは次の項目である漆の色も関係してきますが、後述する使い込んだ際の風合いの出方に違いが出てきます。2019年度の通常ラインナップでは赤、黒、紺、紫、濃茶があります。
漆の色


2で説明している鹿革の地に何色の漆が載るかということです。こちらは黒、白、赤、ピンクのバリエーションがあります。ちなみに白は真っ白ではなく少々クリームがかった色になっています
柄の種類


アイテムの印象を大きく左右する柄の種類です。柄によって漆の面積が変わってくるため同じアイテムで同じ地の色、漆の色を選んだ場合でも柄が変わるとその印象も大きく変わります。
商品ラインナップ
印傳屋さんのアイテムは大きく分けて通常ラインのアイテムと創作ブランドアイテムの2つに分かれます。創作ブランドのアイテムは通常ラインにはない柄を使用しているVIORZA(ヴィオルザ)やFolky(フォルキィ)、また2色の漆を使っているKAGUWA(かぐわ)やNAGOMI(なごみ)など、通常ラインとは別に16種類があります。
忘れがちな大切なポイント


次に私たちが販売を行っている中で、お客様に良く聞かれることや購入する際に伝えている大事なポイントを解説していきます。
使い込んでいったらどんな感じになるのか?
印伝の大きな魅力の一つと言えるポイントです。
先述の通り、甲州印伝(印傳)は鹿革に漆で模様付けしているものですが、長年使い込んでいくと鹿革が馴染んで買った時とは違う独特の質感になってきます。
ちなみにこの手帳は編集部のお隣、物流部部長の手帳で黒地×白漆です。




すでに10年以上使っているものですが、鹿革にツヤっとしたなんとも言えない味が出ていますね。
続いて名刺入。
こちらもまた手馴染みがイイ感じに仕上がっています。
ちなみに色味が独特ですが、こちらは紫地×黒漆の組み合わせです。


鹿革部分だけでなく漆の模様部分も使い込むと自然に磨かれて艶が出てきます。
このようなある程度使い込んだものを見ると買ったばかりの状態はある意味、未完成状態で何年か使い込んで初めて完成形になるという印象もありますね。
筆者も10年以上名刺入れを使用していますが、結構いい感じの「味」が出てきています。
同じ色柄でもアイテムによっては製造していない


ここは結構大事なところです。
例えば・・・
「印伝の財布とキーケース、パスケースなどいくつかのアイテムを同じ色柄で合わせて買いたい!」
と思った際、希望の柄ですべてのアイテムを製造していないかもしれない。
ということです。
印傳屋さんのホームページを見てもわかりますが、アイテム数はものすごい数があります。
そこに先述の通り色柄の組み合わせが掛け合わさると、とてつもない数の組み合わせとなってしまいます。
この組み合わせをすべて作ると大変な数と在庫を用意しないとならないため、印傳屋さんでは毎年、作るアイテムと作らないアイテムをはっきりと区別しています。
なので今年は作っていない組み合わせだけど来年は作るかもしれないというアイテムもあれば、逆に今年は作っていても来年は作らないというアイテムも出てきます。
休眠状態になった組み合わせのアイテムがいつまた復活するかは未定です。もしかすれば復活するかもしれませんが永遠に復活しないかもしれません。


なので休眠状態になった組み合わせのアイテムが欲しい!となった場合、印傳屋さんの問い合わせて在庫がなければ流通在庫、もしくは個人売買などで探すほか方法はありません。
商品ラインナップの改編は毎年9月


色柄の組み合わせ改編や新アイテム、新柄、新色の追加は毎年9月に行われます。このタイミングで新作の発表会も行われます。
ちなみに2019年は9月1日~7日にかけて行われたそうです。
印伝人気の柄 Top5
では私たちが販売してきた中で人気の柄トップ5を見ていきましょう!
雪割草(ゆきわりそう)


数年前に発表された印伝の柄の中でも比較的新しい柄の一つです。
2019年10月現在、黒地×ピンク漆の組み合わせのみ製造しています。
かわいらしい柄なので若い女性にも人気です。
とんぼ


一見「渋い」印象を受けるとんぼ柄ですが、こちらは男女年齢問わず常に人気のある柄です。
トンボは前にしか進まないことから通称「勝ち虫(かちむし)、勝つ虫(かつむし)」と呼ばれ、いわゆる縁起物として昔からなじみ深い柄なのです。
変わり市松


現在、黒地×黒漆と紺地×黒漆の組み合わせで製造されています。
こちらも比較的新しい柄の一つでモダンな印象なので男性が仕事で使う名刺入れやパスケースなどで合わせることが多いです。
ちなみにどうでもいい話ですが、
筆者も黒地×黒漆の変わり市松柄名刺入れを使用しています。
ぶどう


現在、赤地×白漆、赤地×黒漆、紫地×白漆の組み合わせで製造されている柄です。
印傳屋さんの地元、山梨県の地場産業「ぶどう」や「ワイン」と関わりが深い柄でもあります。こちらは30~40代の女性に人気の柄です。
小桜(こざくら)


ここで挙げた5つの中でもダントツの人気柄です。
一見すると桜なので女性向き?
と思われがちですが、「散り際がいさぎよい」ということから歴史的にも武士の好む柄として男性にも愛され続けてきた古典柄です。
中でも黒地×赤漆の組み合わせが人気です。
人気のアイテムTop5
束入れA(No.2315)
一つ目はL字のチャックで開閉する財布です。中の小銭入れにも開閉のチャックが付いていますが、全体を覆い込むように外側のL字チャックが閉まるため、中の小銭入れのチャックは締めなくても大丈夫な形です。




Lチャックの短辺部分はマチが無く中身全体が見えるので非常に使いやすいです。
縦印(No.4301)
印伝(印傳)の製品ラインナップの中では比較的手ごろな価格なので一つ目の印伝にで購入されることが多いアイテムです。また長く使うことができるということもあり、人生の節目を迎えた方への贈り物としても人気があります。


パスケース(No.2525)
こちらのパスケースはsuicaやnanaco、会社のIDなど日常的に使われるカードの収納に適しているため仕事で首から下げて使うという方に人気のアイテムです。歯止め付きの穴が開いているので好きなネックストラップを付けて使用できます。




束入れL(No.2107)
一見すると財布??と思うユニークな形をしている財布です。こちらはとてもシンプルな設計になっており、2枚のカード、札、小銭を収納することができます。
大きなポイントはその薄さで着物を着る方やなるべくかさばらない財布がいいという男性に人気があります。
一度使うととても使いやすいようで、何年かに一度買い直しながらも全く同じ形を使い続けるユーザーさんが多い非常にリピート率の高いアイテムです。




名刺入(No.2501)
以前の記事でも少し触れましたが、やはり名刺入は印伝(印傳)の代名詞ともいえるアイテムです。


地元の山梨県では性別、年齢問わずビジネスシーンにおいて高い確率であいさつを交わすシーンで登場するアイテムです。そのようなシーンではほとんど初対面の関係なので話のきっかけとして
「おっ印伝(印傳)使っているんですね?」
といった具合に話しのきっかけをつかみやすくしてくれます。


筆者も印伝(印傳)の名刺入れを使用してきた中で、過去には仕事で一緒になった北海道の方が印伝(印傳)の財布を使用していたり、大企業の取締役の方と名刺交換した際、先方が自分と同じ柄の名刺入を使っていたなんてこともありました。
このようなとき少しでも柄の意味や名称を知っていると話を膨らませることができます。


正に名刺代わりの名刺入としてビジネスライフで役立ってくれるかもしれませんね。仕事アイテムの中に印伝を取り入れたい!という方にはイチオシのアイテムです。
まとめ
今回は山梨県の伝統工芸、印伝(印傳)について購入を検討する際に知っておくべきポイントと人気アイテムと人気の柄を紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?
記事内にも書いておりますが、印傳といってもラインナップや色柄の数や歴史など非常に奥深い世界です。
名刺を紹介した部分でも触れましたが印伝を使うことで生まれる印象的な出会いもその魅力の一つだと思います。
皆さんも好きな色柄の組み合わせやアイテムの形などぜひ調べてみてくださいね。
もしかしたらお気に入りの逸品が見つかるかもしれませんよ~
ではまた次回!