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【訪問】 萬古焼 の窯元を訪ねてみました

【訪問】 萬古焼 の窯元を訪ねてみました

先日の信楽焼の訪問取材に引き続き、2日目は 土鍋 や 急須 で広く知られる焼物 萬古焼(ばんこやき)の製造元を訪ねました。

現在、NHKの連ドラの題材として信楽焼が注目を集めていますが、萬古焼の産地、四日市市は滋賀県甲賀市から車で1時間ほどの距離にあります。

萬古焼 はどこで作られている?

萬古焼 は三重県の四日市市で 作られています。

四日市市は中京工業地帯の代表的な工業都市として知られ、モータースポーツの聖地として知られる鈴鹿サーキットのある鈴鹿市の隣にあります。

ご当地B級グルメの「四日市トンテキ」や名物の味噌煮込みでも知られていますね。

四日市トンテキの盛り付け画像
ご当地B級グルメの「四日市トンテキ」

土鍋 と 急須 で知られる 萬古焼 とはどんなもの?

萬古焼は陶器と磁器の間の性質を持つ半磁器に分類される焼き物の一つで耐熱性に優れた特性を持っています。

代表的なアイテムは下記の写真のような急須や冬に大活躍する土鍋です。

萬古焼の急須

江戸時代の中期(1736年頃)、当時桑名(現在の桑名市)で手広く陶器専属の問屋事業を行っていた沼波弄山(ぬなみろうざん)が趣味として作り始めたことが最初とされています。

その後1979年には国の伝統工芸品に指定され、耐熱性能に優れていることから、豚のカタチをした蚊遣や急須、土鍋などで全国に広く知られるようになりました。

中でも土鍋の国内シェアは80~90%を占めており、飲食店ではもちろん、一般家庭でもお馴染みの存在として愛され続けています。

有限会社 弥生陶園

今回、取材にお伺いしたのは萬古焼の窯元、有限会社弥生陶園さんです。

弥生陶園の工場外観
弥生陶園の工場入口

挨拶を交わして早速製造工程の見学へ潜入しました

萬古焼 の生産工程を見学

弥生陶園の工場内観

まず最初に見せていただいたのは陶土原料です。

陶土原料

どのような焼物に仕上げるかによって原料の組成は異なり、それぞれ混ぜ込まれている成分が違うそうです。

ちなみにこちらの弥生陶園さんでは耐熱陶器がメインの商品なので仕上がった状態で熱に強くなるように調合された原料を使用しているそうです。

この陶土原料から泥漿(でいしょう)を作っていきます。

※泥漿(でいしょう)とは鉱物や泥が混ざっているドロドロとした混合物で焼物の材料

萬古焼の泥漿1

滑らかになるまで水を加えながら混ぜ、直径4cm前後のパイプをスムーズに流れるくらいサラサラの状態にします。

萬古焼の泥漿2

その後、下記の写真のような型に流し込まれていきます。

ちなみに下の写真の手前側の型にある小さな穴が見えますでしょうか?

この穴から泥漿が流し込まれて成形されていきます。

萬古焼の型

このような型を下記の写真のように積み上げ、下から型の中へ泥漿をながしこんでいきます。

萬古焼の型が積み上がった状態

ここでおもしろいのは型の上から流し込むのではなく下の型から順に流し込んで行くというところとです。

私のような素人考えでは当然上から流し込んでいくものだと思っていましたが、理由を聞いたところ、上から流し込んでいくと空気が下に溜まってしまうからだそうです。

萬古焼の型

成形されたそれぞれのアイテムが乾いてきたところで通称マガリと呼ばれる作業をします。

萬古焼のマガリ作業

この作業で型と型の継ぎ目で生れるバリと呼ばれる不要な部分を削り取って滑らかな状態にします。

作業の名称「マガリ」は使っている専用工具が上記写真のように垂直に曲がっているからだそうです。

萬古焼のマガリ作業

この段階ではまだまだ柔らかい状態ですのでちょっとしたことで形が崩れてしまうようなことがあります。

そこで次の素焼きの工程で水分を飛ばし、次の工程で加工ができるよう、ある程度硬い状態にします。

萬古焼の素焼き作業風景

こちらは素焼きが完了した状態です。

萬古焼の素焼き

次に釉薬(ゆうやく)を塗る工程に入ります。

※釉薬(ゆうやく)、別名上薬(うわぐすり)とも呼ばれる焼き上がりの状態でガラス状になる特殊な薬品

専用の器具で挟んでから釉薬を潜らせます。

萬古焼の釉薬塗布作業

釉薬を塗るためには大きなハサミのような形をした専用工具を使います。

接点を最小限にするために掴んでいる部分が鋭く尖っているんですね。

釉薬を塗り、乾かすと下記画像のような状態になります。

釉薬を塗り終えた器

器の縁に当たる部分を整えた後、窯に入れられ14~15時間ほど焼き上げます。

弥生陶園の窯の内部
弥生陶園の窯の外観

今回の取材では残念ながら窯に火を入れるタイミングや、焼き上がりのタイミングではなかったため火入れのシーンや仕上がったばかりの状態は見ることはできませんでした。

ちなみに焼き上がった完成した状態はこんな感じになります。

萬古焼の一人用おひつ
萬古焼の耐熱フライパン(丸型)
萬古焼の耐熱フライパン

パッと見た感じ鉄でできているようにも見えますがどれも陶器でできています。どのもやさしい印象のカタチが特徴的ですね。

弥生陶園の社長

今回訪問した弥生陶園さんでは萬古焼の耐熱技術を活かしつつ、毎日の食事に気軽に使えるアイテムや調理のや洗い物のひと手間を減らすアイテムなど独自のアイディアを盛り込んだ商品を製造しています。

弥生陶園の商品ポスター

またそれらを活用するためのレシピ研究にも積極的に取り組んでいます。

これから先もどんなアイテムが出てくるのか楽しみですね!

まとめ

今回、信楽焼の取材に続いて萬古焼の取材にお邪魔しましたが、共通して言えるのは焼物の持つ「高価」「作品」というようなイメージではなく「日常の中で当たり前のように使うもの」ということです。

大切にしまっておくようなものではなく、どんどん使って食卓に並ぶ、そんなアイテムであるべきなんですね。

皆さんも何かの機会で萬古焼に触れる機会がありましたらぜひ手に取ってみてくださいね。

優れた耐熱性能で料理の幅が広がるかもしれませんね!

ではまた次回お会いしましょ~

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