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【訪問】 朝ドラ の聖地 信楽 を訪ねてみました

【訪問】 朝ドラ の聖地 信楽 を訪ねてみました

2019年9月から放映されているNHK の 朝ドラ 「スカーレット」の聖地、 信楽 を訪問してみました。

丸十製陶の工場

NHK 朝ドラ の聖地 信楽とは

信楽焼のタヌキ忍者バージョン
信楽焼の代名詞:タヌキの置物

信楽焼(しがらきやき)。日本六古窯に数えられるその名前は全国的にも広く知られていますよね。

現在、放映中のNHKの連続テレビ小説の舞台にもなっており、大きく注目を集めている焼物のひとつではないでしょうか。

“信楽焼 どこ”

検索エンジンで「信楽焼」と入力するとよく候補に「信楽焼 どこ」と出てきます。信楽焼の名前は知られていても意外と該当地域の正式な地名は知られていないようです。

信楽焼は滋賀県の南部に位置する甲賀市という場所で生産されています。

今回、訪問したのは丸十製陶さん

丸十製陶の直売店

今回の取材で訪問したのは長年日本のいいもの.jpでも商品を取り扱っている丸十製陶さんです。

丸十製陶の商品企画本部長 山野さん
株式会社 丸十製陶 商品企画本部長 山野さん

当日、お話を聞かせてくれたのは商品企画本部長の山野さん。

信楽焼の変遷や地元の話、製造工程や信楽の現在の状況など詳しくお話してくれました。

現在の状況を聞いてみたところ、NHKの連ドラ放映の影響で多くの方が甲賀市を訪れているそうです。

全国では「信楽:しがらき」の読み方や信楽が滋賀県の地域ということを知らない方も多いので、それを知ってもらうだけでも連ドラの題材になった意味は大きい。

とおっしゃっていました。

製造現場を見学

ではさっそく・・・

ということで製造現場へ潜入です。

成形する工程

最初に見学させていただいたのは型で成形する作業です。

信楽焼の作業工程 成形

「焼物」というとロクロを回して成形する作業をイメージしますよね?量産を行う現場ではこのような型を使用してこの中に空気が入らないように泥漿(でいしょう)を流し込み成形していきます。

※泥漿(でいしょう)とは鉱物や泥が混ざっているドロドロとした混合物で焼物の材料

手で方に材料を詰め、しっかりと空気を抜いた後、回転するロクロ上からヘラで押さえながら不要な部分を取り除きながら成形していきます。

信楽焼の作業工程 成形2

細かい部分を整える

信楽焼の作業工程 成形3

全体の成形が終わった後、細かい部分のを整える作業に入ります。全行程では細かい部分が粗削り状態ですので、そこを一つ一つ整えていきます。

信楽焼の作業工程 成形4

こちらもロクロを回しながら専用工具やスポンジなどを使用しながら滑らかな口当たりに仕上げていきます。

釉薬(ゆうやく)を付ける

釉薬(ゆうやく)とは別名上薬(うわぐすり)とも呼ばれ、焼物の表面を覆うガラス質の部分を形成するための薬品です。

この作業では色味や質感など外観を大きく左右します。

信楽焼の作業工程 釉薬塗り

下記の写真中央は釉薬を塗る前の状態で両側2つは塗った後の状態です。

やはり色が付くとガラッと印象が変わりますね!

信楽焼の作業工程 釉薬塗り2

ちなみに下の写真は同じ商品が焼き上がった状態です。

ここで疑問に思ったのが黒い斑点です。

これは焼物ではごくごく一般的な見た目ですが、釉薬を塗った状態ではないのにどうして焼き上がりに出てくるのか・・・?

信楽焼の作業工程 釉薬塗り3

これは塗った釉薬と泥漿に練り込まれた鉄分の反応によって出るものだそうです。

なので黒い斑点の位置は個体ごとに違い、一つとして同じものは無いわけです。

泥漿には組成の種類が多数存在し、釉薬にも色味や質感の異なる種類が多数存在します。この組み合わせによって色味や質感など、仕上がり状態に違いが出てくるわけですね。

焼き上げ作業

一連の作業が完了した各アイテムは写真のような棚に積み上げられ窯に入れる準備が進められます。

信楽焼の作業工程 焼き上げ

全てのアイテムが積みあがったら写真のレールに乗せられ、窯の中に入れます。丸十製陶さんでは大きい窯が2つと小さい窯1つの合計3つで焼き上げ作業をしており毎日交互に稼働中だそうです。

信楽焼の作業工程 窯入れ

下記の写真は窯の中です。

この中に先程の棚が運び込まれて焼き上げられるわけですね。

信楽焼の焼き上げに使用する窯

焼き上げは16~17時間ほどかけて焼かれるそうです。

焼き上げ時間はとても長いですよね。

焼きあがった後も窯が冷めるまでは使えないのでその間もう一つの窯で作業するわけです。

焼物の本当の難しさは窯との付き合い方

ここまで一連の流れを説明してきましたが、成形や釉薬の塗り方など、それぞれに長年の経験が必要であることは一目瞭然です。

しかし素人の私から見ても明らかに一番難しいと感じたのは

同じアイテムを複数個作ったとき、いかに同じように仕上げることができるか

という部分です。

これは窯の中での火加減、正確には火の当たり方などの話を聞いて感じました。

具体的にどういうことかというと・・・

窯の構造説明図

窯の中では両サイドにあるバーナーから炎が噴射され積まれたレンガの壁に当たり、上方向に上がった後、窯全体の温度が上がります。

このときできるだけ窯の空間温度にムラが無いよう、均等に熱くならなければならなりません。

焼き上げに使用する窯の内部
バーナーの噴射口
焼き上げに使用する窯の内部2
バーナー噴射口前に積まれたレンガ

ちなみに上記写真の積みあがったレンガもなんとなく置かれているように見えますが、一つでも位置や向きが変わると焼き上がりが大きく変わってしまうそうです。

また窯の状態は変わっていなくても湿度や気温、天候などによっても焼き上がりは変わってしまうそうです。

窯の中に入れる専用の棚

窯の中に入れる棚の中の配置もだた空いているところへ順に並べているわけではなく、全て火の当たり方や温度感、色味の出方などを計算した上で配置されているのです。

下記の写真は焼き上がりの検証した8枚のお皿ですが、同じ材料で作って、同じ窯で一緒に焼き上げたものです。しかし棚の中の置いた場所が異なるだけでここまで質感と色味に差がでます。

焼き上がりの比較写真

このように様々な要素を考えた上で、窯を使いこなす必要があるため先述の通り、何度も何度も同じものを同じように作ること自体が難しいわけなんです。

更に言えば、仕上がり具合は窯に入れてから16~17時間は確認することができないためすぐに結果を見ることができないのです。

このように変化する要素が多いため、窯の状態はできる限り一定の状態に保つ必要がありますが、このメンテナンスには長年の経験はもちろん窯の特性や火の流れ方、温度の上がり方などを熟知している必要があり専門技術者の領域になるそうです。

この作業を請け負うのが窯屋さんという職業です。

焼物産業を影で支える窯屋さんの存在

窯屋(かまや)さん。

山梨県に住む私たちには耳馴染みの無い職業ですが、焼物産業が盛んな滋賀県ではとても大切な存在で、多くの焼物事業者さんの窯はこの窯屋さんの手によって最善の状態が維持されているのです。

この窯屋さんも信頼の技術を持つ技術者はごくわずかで、信楽周辺にはもう2名ほどしかいないそうです。

見学してみた感想

今回の見学を通じて一番強く感じたのは、土から釉薬、焼き上げ、窯の状態、環境条件など焼き上がりに変化をもたらす要素が多い中で一定の商品を作り続けることの難しさです。

この点について山野さんにも聞いたところ・・・

焼物産業を営む中で同じものを何度も精度高く作れるというのが私たちの仕事における正に究極の領域ですね。

とおっしゃっていました。

今回の取材後は焼物を見るときの見方が大きく変わるような気がしました。

皆さんもご家庭で使っているお揃いの焼物があったら、ぜひその裏側に大きなノウハウと試行錯誤を繰り返した努力があるということを想像していただけると嬉しいです!

丸十製陶の目指す信楽焼

株式会社丸十製陶の直売店

今回、製造工程を見せていただいた丸十製陶さんではさまざまな取り組みをしていますが、信楽焼という伝統産業を背負いつつこれから目指していくものを聞いてみました。

いつでも食卓の上に載っている食器でありたい

株式会社 丸十製陶 企画本部長 山野さん
株式会社 丸十製陶 企画本部長 山野さん

今回、工場内を案内いただいた山野さんに丸十製陶のアイテムをどんな人に使ってほしいかと質問をしてみました。

すると・・・

私たちの製品はぜひ家族という輪の中で使ってほしいですね。

例えるならいつでも食卓の上に載っているごくごく当たり前の器として使ってほしい。

「信楽焼」「焼物」というと作家が作った立派な作品、家庭でいえば床の間に置くような高価なものというイメージがあるかもしれません。

しかし私たち丸十製陶の製品は毎日当たり前のようにどんどん使って、年月を重ねたときに私たちのの器を見て

「これいつも使ってたね」

と幼少期を思い出す、そんな存在として家族の輪の中に置いてほしいと思っています。

とおっしゃっていました。

今回は丸十製陶さんにお邪魔しましたが、きっと信楽で製造される商品には本記事で紹介したような背景や作り手の思いがそれぞれの生産者ごとにあるのだと思います。

丸十製陶さんの食器に限らず信楽焼の食器を使用している方は今夜ご飯やおかずをよそる際にチラッと思い出してもらえたら少しだけ美味しくなるかもしれませんね

今夜の夕飯の話題にお子供さんにも話していただけたら嬉しいです!

日本のいいもの.jpでも販売中の カレー専用皿 や 卵かけご飯専用茶碗やはこちらの丸十製陶さんで製造されていますので興味のある方はぜひリンク先を見てみてくださいね。

ではまた次回の記事でお会いましょう!

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